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コーポレート・ガバナンス情報

コーポレートガバナンスセンターの概要

  1. コーポレートガバナンスセンターについて
    金融監督管理委員会(以下‘金管会’)は2013年に「2013我が国コーポレートガバナンス強化に向けたロードマップ」を公表し、企業のコーポレートガバナンス文化の構築、株主行動主義の促進、取締役会の責務の向上、コーポレートガバナンスに係る重要情報の開示、及び法制強化等五大計画、13項目の具体的施策を打ち出しました。そのうち、企業のコーポレートガバナンス文化の構築について、「民間の資源を統合的に有効活用し、コーポレートガバナンスセンターを設立する」ことを第一の具体的施策として、台湾証券取引所(以下‘取引所’)に「コーポレートガバナンスセンター」の設立を指示し、証券関係団体、各民間コーポレートガバナンス関係団体及びオピニオンリーダー等を招集し、各界の資源を統合的に有効活用することでコーポレート・ガバナンスに係る重要施策を打ち出し、我が国資本市場におけるコーポレートガバナンスの向上を図ります。「コーポレートガバナンスセンター」は2013年10月に設立して以来コーポレートガバナンスの充実に向けて鋭意に取り組んでまいりました。
  2. ミッションとビジョン
    5年に亘るコーポレートガバナンスロードマップは2017年にすべて実施されました。各具体的施策は円滑に進められ、取締役会の運営、株主総会の招集及び情報開示においてめざましい成果が上げています。金管会は持続的にコーポレートガバナンスの改革を進めていくために、2018年4月24日に「次期コーポレートガバナンスロードマップ(2018-2020)」をスタートさせ、企業コーポレートガバナンス文化の深化、取締役会の責務の向上、高品質な情報開示、外部株主のエンゲージメントへの取組及び法制遵守の強化等を通して、企業及び投資家に対してコーポレートガバナンスへの積極的なコミットメントを呼びかけ、コーポレートガバナンス文化の確実な深化、フレンドリーな投資環境及び資本市場国際競争力の向上を図ります。本センターはロードマップの実現というビジョンをミッションとし、ロードマップに基づき各具体的施策の推進と実行に取組み、政府、民間、証券関係団体及びメディアの資源を統合的に有効活用し、規制及び行動規範の改訂、調査研究、評価の実施、教育宣伝活動、投資家に交流チャンネルを提供する等、企業にコーポレートガバナンスの強化を支援し、最適なコーポレートガバナンスの文化の構築に努めます。また、国際交流を通じて我が国のコーポレートガバナンスの成果をアピールし、国際的なイメージと市場価値の向上に向けて取り組みます。
  3. 組織概要
    コーポレートガバナンスセンターに、政府機関及び各証券関係団体の代表計11名(金管会証券先物局、銀行局、保険局、検査局、経済部商業室、証券取引所、先物取引所、台北取引所(TPEx ;Taipei Exchange)、証券保管振替機構、投資家保護センター及び証券先物基金会)によって構成される諮問委員会を設置しています。そして、証券取引所代表が招集人を務め、台湾証券取引所コーポレートガバナンス部が事務局として運営を行っています。
    また、企業コーポレートガバナンス評価を運営するために、センターに「コーポレートガバナンス評価委員会」を設置し、評価指標及び結果の審議に関する業務を行っています。評価委員会は9名の専門家や学者及び証券関係団体(台湾証券取引所、台北取引所、証券保管振替機構、投資家保護センター及び証券先物基金会)の代表計14名によって構成されています。
  4. 主な業務内容
    1. コーポレートガバナンス:
      1. コーポレートガバナンスにおける評価制度の策定及び検討:統合的にコーポレートガバナンスの評価制度の策定及び検討を行います。国内修訂法令規則を参考し、重点施策の促進と国際動向を踏まえた評価指標を策定し、評価ガイダンスと参考範例を検討し、プロモーション活動及び評価結果の公表などの業務を行っています。評価制度の実施と促進活動を通じて、国内コーポレートガバナンス実務の品質向上に努めます。
      2. 規則調査・修訂及び研究レポート作成:国内外主要市場のコーポレートガバナンスに関する規則と実務の収集・調査をし、上場規則においてコーポレートガバナンスに係る規則とガイドランの見直しと修訂を行います。また、コーポレートガバナンスに関する重要議題を取り上げ研究レポートを作成します。
      3. 取締役向けの研修プログラムの立案:上場企業と取締役向けの実例集などの教材を作成し、宣伝、座談会、セミナーまたは研修プログラムを実施。アプリ、ビデオを利用し、実例を用いる教育プログラムの実施を通じてメディアと投資家がコーポレートガバナンスへの理解を深めることに支援します。
      4. 電子版ニュース:コーポレートガバナンス及び企業社会責任等に関する最新または重要情報をまとめた中国語と英語の電子版マンスリーニュースをウェブサイトに掲載します。閲覧者は当該電子版マンスリーニュースを通じて国内外の最新コーポレートガバナンスと企業社会責任及び政策動向などを把握することができます。また、当センターのウェブサイトからより詳細な情報の検索・取得もできます。
      5. 広報と国際連携:最新のコーポレートガバナンス規則及び政策の実行とプロモーション活動を行い、国際コーポレートガバナンス関連機構との交流及び国際活動への参加を通じて、国際連携を図ります。
    2. 企業の社会的責任:
      1. 非財務情報開示:非財務情報の開示は、ステークホルダーの関心を寄せ、企業の持続可能な事業発展の競争力の表れでもあり、さらに我が国資本市場の情報透明性の向上につながることから、コーポレートガバナンスセンターは将来を見据えた経営ビジョン、企業の経済資源と活動に関する情報を提供するように持続的に企業に対して国際スタンダードの企業社会的責任報告書の作成並びに非財務情報の開示内容の充実を促しています。
      2. スチュワードシップコード:近年我が国資本市場の機関投資家の取引比率が増加しつつあり、マーケット及び投資先企業への影響が大きく、投資先企業のコーポレートガバナンスへの重要性が高まったことを背景に、コーポレートガバナンスセンターが2016年6月にスチュワードシップコードを公表しました。機関投資家は、資金提供者の長期的な利益を追求するために、投資先企業の経営状況をモニタリングし、投資先企業の株主総会への出席を通じて議決権を行使し、投資先企業の経営層との対話とエンゲジメントによってコーポレートガバナンスへ参与し、機関投資家の受託者としての責任を果たすとともに、法令規則及び企業の自主規制のほかに、このような市場メカリズムを活用し、我が国コーポレートガバナンスの品質の継続的な向上に貢献します。
      3. コーポレートガバナンスとサステナビリティ指数:世界的な社会的責任投資の潮流に呼応し、2010年に「台湾就業99指数」の開発を皮切りに、2014年に「台湾ハイコンペンセーション100指数」、2015年にコーポレートガバナンスの評価結果を勘案し「台湾高給与100指数」を算出し、さらに2017年に「台湾サステナビリティ指数」を発表し、我が国初めてのE(環境)、S(社会)、G(企業統治)の三つの観点と財務指標に配慮して持続可能な事業活動を行う企業に投資する「ESG投資指数」を開発しました。関連指数を継続的に開発することを通じて、国内資金を持続可能な開発が行われ国内企業へ投入され、資本市場及び企業にサステナビリティを認識させ、取組みことによりさらに持続可能な事業発展に繋げる好循環に導きます。

コーポレートガバナンスロードマップ概要

コーポレート・ガバナンスとは、企業経営において、経営責任を明確化し、株主の権益とその他ステークホルダーの利益を守るために管理・統制する仕組みのこと。良いコーポレートガバナンスは、取締役会及び経営陣に経営目標の達成という正当なインセンティブを与え、企業及び株主の利益最大化に配慮した経営を行い、管理体制の改善、実効性の高い監督機能を担うことで、企業に資源の有効活用に期待ができ、経営効率性を向上させ、さらに競争力を強化し、全国民共通の利益拡大に繋がります。

我が国は1998年以降、国内公開発行企業に向けてコーポレートガバナンスの重要性を呼びかけ、行政院は2003年1月7日に「コーポレートガバナンス改革タスクフォース」を発足し、コーポレートガバナンスに関する議論を行ない、「コーポレートガバナンス強化政策綱領及び行動方案」を取りまとめ、コーポレートガバナンス促進の準拠としました。当時から続々と施策が打ち出され、例えば取締役会の独立性の確保、段階的に取締役会機能別委員会の設置の推進、OECD公表のコーポレートガバナンス原則を参考に我が国の実情に見合う上場(TWSE,TPEx)企業のコーポレートガバナンスコードの策定、電子議決権行使制度の推進、関係者取引における意思決定の過程のディスクロージャーの強化、投資家保護措置の導入及び企業情報の透明性向上等が挙げられます。

上述のように、わが国におけるコーポレートガバナンスの取組みは様々な成果が上がっているものの、近隣国家におけるコーポレートガバナンスの普及に鑑み、改革のスピードをさらに速める必要があります。金管会は、2013年に行政院が決議した「我が国コーポレートガバナンス強化に向けたロードマップ」を公表することで、コーポレートガバナンス改革促進の決意を表明し、これが、向こう5年間の改革の方向性の指針となり、より明確な法制化、上場(TWSE,TPEx)企業のコーポレートガバナンスコードに行動指針を追加するほか、台湾証券取引所においてコーポレートガバナンスセンターを設立し、政府、民間、証券関係団体及びメディアの資源を統合的に有効活用し、上場(TWSE,TPEx)企業、民間及び社会と積極的に対話し、コーポレートガバナンス文化の浸透を図り、過去のような監督規制当局主導の改革から、企業がコーポレートガバナンス強化の価値を理解した上で法令の強制力ではなく自主的な取組みによって、企業の競争力を強化し、我が国のコーポレートガバナンスのプレセンス向上に繋げます。

「2013我が国コーポレートガバナンス強化に向けたロードマップ」に関する施策は2017年にすべて実施されましたが、我が国のコーポレートガバナンスが継続的に発展を続け、グローバルスタンダードの実現に向けて、金管会は関係団体及び専門家や学者などの意見をまとめ、向こう3年に亘る「次期コーポレートガバナンスのロードマップ(2018-2020)」を策定し、企業コーポレートガバナンス文化の深化、取締役会の責務の向上、高品質な情報開示、外部株主のエンゲージメントへの取組及び法制遵守の強化等を通して、企業及び投資家に対してコーポレートガバナンスへの積極的なコミットメントを呼びかけ、コーポレートガバナンス文化の確実な深化、フレンドリーな投資環境及び資本市場国際競争力の向上を主な目標とします。

企業の社会的責任の概要

企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility,CSR)は、企業が利益の追求、株主への責任を果たすだけではなく、あらゆるステークホルダーに対する責任を全うし、その経済的繁栄をもたらし、社会の公益に寄与し、そして環境保護の持続性を実現する理念を指します。

近年石化燃料の大量使用と土地開発の行き過ぎにより、世界各地に異常気象が発生し、自然災害が頻繁に起きています。加えて、自由化とグローバル化が進み、国際貿易と相互投資の増加からもたらす各地域への影響、例えば人権、労働条件、資源配分、腐敗と賄賂等の社会問題が挙げられます。そのため、企業に対する期待は会社業績の向上と収益力の追求に止まらず、社会、環境に対しても同様に責任の履行義務が求められています。グローバル企業の管理と統制においては、従来の単一政府による個別管理メカニズムだけでは不十分であるため、企業の社会的責任に関するグローバル規範と行動準則が続々と打ち出されています。これらの諸基準は企業による社会的責任の履行実現をより具体的に示し、企業が社会的責任を履行するに当たって重要な参考ツールです。今日では、各国政府および資本市場の運営管理者が企業の社会的責任の履行について積極的に規範を示し推進していると同時に、今日、成功を遂げた多くのグローバル企業がCSRを経営戦略のコアとして組み入れ、会社の永続的成長発展の基盤としています。

台湾資本市場において、世界的な企業の社会的責任履行推進の流れを受け、規制当局及び各関係団体も企業の社会的責任履行の促進に全力を注いでいます。企業の社会的責任履行の重視を喚起するため、監督当局である金管会は継続的に企業による社会的責任履行状況に関する開示規範を策定するほか、取引所と台北取引所に指示し、2010年「上場企業における社会的責任履行原則」と「上場企業における適切な経営運営原則」を公表し、台湾上場企業に企業の社会的責任の履行並びに適切な経営責任を果たすよう促し、企業の永続的な発展の実現に向けて取り組んでいます。また、2013年に「2013我が国コーポレートガバナンス強化に向けたロードマップ」を公表し、企業のコーポレートガバナンス及び社会的責任履行の指針としております。証券市場においては、労働者保険基金及労働者年金基金といった機関投資家が社会的責任を果たしている企業を選んで投資する傾向にあるため、取引所は続々と「台湾就業99」及び「台湾高給与100指数」商品を上場させ、指数関連商品の発行を通じて、企業に就業機会の提供と社員給与の改善への取組みを促しております。台湾証券取引所と台北取引所は、企業の社会的責任の履行促進において、2012年以降規制監督当局である金管会の指導の下、毎年「上場企業の適切な運営及び企業の社会的責任に関するセミナー」を開催し、各業界を代表する上場企業による取組み状況やケーススタディー例の共有を通じて、企業の適切な運営及び企業の社会的責任の履行の促進に貢献しております。一方、台湾証券取引所は、2014年に世界取引所連合(WFE; World Federation of Exchanges)の永続的な発展ワーキンググループに参加しており、そこでの情報交換と様々な知識と経験の共有を通じて、台湾資本市場における環境、社会、コーポレートガバナンスに関する規範をグローバルスタンダードに近づけ、我が国企業の社会的責任の履行を促すことに取り組んでまいる所存です。

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