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 コーポレートガバナンスの概要
Last Updated: 2009.07.30
一、コーポレートガバナンスの定義:

米国の学術界では1930年代から、コーポレートガバナンスの課題に関する検討が始まり、1997年の金融危機以降、アジア諸国の企業でもコーポレートガバナンス制度が重視されるようになってきました。「コーポレートガバナンス(Corporate Governance)」という言葉の中国語訳については、わが国の学者による複数の訳語があります。監督、弊害予防の観点から「企業控管(企業コントロール)」または「企業監理」という人もあり、事業の有益化の機能に着目して「企業管理」または「企業統理(企業統治)」という人もいます。しかし、それぞれ定義と範囲は異なるかもしれませんが、その主旨は、企業に、法律によるコントロールと将来設計を通じて、企業の所有物と経営を区別した組織体系の中でその組織活動を有効に監視すること、また健全な組織運営を構築させ、脱法行為という経営の弊害を防止し、企業の社会的責任を実現させようとするものです(注:参考文献-『コーポレートガバナンス』証券及び先物市場発展基金会出版)

二、OECD(経済協力開発機構)は、1998年4月27日から28日の閣僚理事会において、企業体がコーポレートガバナンス制度を執行する上での参考基準となるよう、次の5項目のコーポレートガバナンスの原則を打ち出しました。

(一) コーポレートガバナンスの枠組みは、株主の基本的権利を保護し、意思決定に参加する権利を擁護するものでなければならない。
(二) コーポレートガバナンスの枠組みは、大株主と少数株主、外国人株主を含む全ての株主に対して公平な待遇を保証するものでなければならない。
(三) コーポレートガバナンスの枠組みは、法で定められたステークホルダー(利害関係者)の権利を認め、会社と利害関係者が富を創出し、企業が業務及び財務面で健全であり続けるよう積極的に協力することを促すものでなければならない。
(四) コーポレートガバナンスの枠組みは、会社の財務状況、業績、所有権及びその他の重要事項について、正確な情報開示と透明性を保証するものでなければならない。
(五) コーポレートガバナンスの枠組みは、会社の取締役会の戦略的方向付け、有効な監督が保証されるものでなければならない。

三、OECD(経済協力開発機構)は、2002年の閣僚理事会において、2004年までに上記のコーポレートガバナンス原則について評価レポートを提出するよう求めました。1年あまりかけてパブリックコメントを集めた上で、OECDは2004年に次の6項目の新しいコーポレートガバナンスの原則を示しました。

1.  コーポレートガバナンスの枠組みは、透明で効率的な市場を促進し、法の原則に一致し、監督・法制・執行の責任の所在を明確にするものでなければならない。
2.  コーポレートガバナンスの枠組みは、株主の権利を保護し、またその行使を促進すべきものでなければならない。
3.  コーポレートガバナンスの枠組みは、少数株主、外国株主を含む、全ての株主の平等な取扱いを実現しなければならない。全ての株主は、権利が侵害された場合、有効な救済を得る機会を有するものとする。
4.  コーポレートガバナンスの枠組みは、法律または相互の合意により確立されたステークホルダー(利害関係者)の権利を認識すべきであり、会社と利害関係者の積極的な協力関係を促進し、富と雇用を創出し、財務的に健全な会社の持続可能性を高めなければならない。
5.  コーポレートガバナンスの枠組みにより、会社の財務状況、業績、株主構造、ガバナンスを含めた、会社に関する全ての重要事項について、適時かつ正確な開示が確保されなければならない。
6.  コーポレートガバナンスの枠組みにより、会社の戦略的方向付け、取締役会による経営陣の有効な監視、取締役会の会社及び株主に対する説明責任が確保されなければならない。

四、わが国の企業(上場、店頭登録会社)のコーポレートガバナンス実施のための基本法の枠組みは次の通りです。

(一) 会社法:
会社法はコーポレートガバナンスの規範の主軸であり、株主、取締役会、監査役について、会社法では立法・行政・司法の三権分立に似た体制を定めており、相互に抑制することでコーポレートガバナンスの目的を達成します。
(二) 証券取引法(以下「証取法」といいます):
株を公開発行する株式会社の有価証券の募集、発行、売買の管理監督については、証取法の規定に従い、証取法で規定がない場合は会社法及びその他の関連法律の規定を適用します。2006年1月11日公布の証取法の改正条文では、社外取締役制度、会計監査委員会制度の導入と取締役の職能強化、構造と運営について規定されました。証取法のほか、証券管轄機関が証取法に基づいて制定する公開発行会社に関する規則もコーポレートガバナンスの重要な内容です。公開発行会社の社外取締役の設置及び遵守事項規則、公開発行会社の会計監査委員会職権行使規則、公開発行会社の取締役会議事規則等があります。
(三) 上場、店頭登録に関する規則:
台湾証券取引所及び台湾店頭売買センターが定める上場・店頭登録関連規則も、会社法、証取法及び公開発行会社関連規則とあわせて、上場・店頭登録会社がコーポレートガバナンス制度を確立、実施、徹底するよう促し、指導するものです。

社外取締役・監査役の設置も、コーポレートガバナンス制度推進の重要な一環です。そこで、台湾証券取引所は、2002年2月22日付で公告・実施した「有価証券上場審査準則」第9条第1項第12号(注:2007年2月15日付で第9号となりました)、及び「有価証券上場審査準則補充規則」第17条改正条文において、初めて上場申請する場合について、社外取締役・監査役の人数、資格条件と独立性等について具体的に定めています。また、証券店頭売買センターは2002年2月25日付で公告・実施した「証券会社営業所有価証券売買審査準則」第10条と「第10条第1項各号の店頭登録規定不適合の具体的認定基準」改正条文において、初めて店頭登録申請する場合について、社外取締役・監査役の人数、資格条件と独立性等について具体的に定めています。上記の日以降(当日を含む)に上場・店頭登録を申請する場合は、規定に従い手続をしなければならず、施行日までにすでに上場・店頭登録した場合もこれを参照して手続することができます。また2006年1月11日公布の証取法の改正条文では、上場・店頭登録に関する規則の「社外監査役」の規定を削除し、新規上場・店頭登録する会社は2人以上の社外取締役を置かなければならないと規定しています。

また、上場・店頭登録会社が良好なコーポレートガバナンス制度を確立するよう手助けし、証券市場の健全な発展を促進するため、台湾証券取引所及び証券店頭売買センターは次のような「上場・店頭登録コーポレートガバナンス実務規則」と参考例を公表しています。
1.  2002年10月4日付で「上場・店頭登録コーポレートガバナンス実務規則」を公告し、2003年4月25日付で「○○株式会社 株主総会議事規則」、「○○株式会社 関連企業間財務取引作業規則」、「○○株式会社 法人支配株主の権利行使と議事参加規則」、「○○株式会社 取締役及び監査役選任手続」、「○○株式会社 社外取締役の職責範囲規則」、「○○株式会社 会計監査委員会組織規程」、「○○株式会社 取締役会議事規則」の7つの参考例を公表し、2003年8月18日には「上場・店頭登録会社取締役、監査役研修推進要綱」参考例を公表して、上場・店頭登録会社が自社のコーポレートガバナンス制度を構築する上で参考にできるようにしました。
2.  上記のコーポレートガバナンス実務規則について、コーポレートガバナンス推進ワーキンググループが、実施から1年経過後には各界の意見を容れて修正するよう結論を出したことを受け、2003年12月31日には実務規則を修正して公表しました。2004年2月16日には「○○株式会社 関連企業間財務取引作業規則」、「○○株式会社 法人支配株主の権利行使と議事参加規則」、「○○株式会社 社外取締役の職責範囲規則」、「○○株式会社 会計監査委員会組織規程」、「○○株式会社 取締役会議事規則」と「上場・店頭登録会社取締役、監査役研修推進要綱」の6つの参考例を修正して公表しました。
3.  台湾証券取引所はさらに2004年5月26日に「○○株式会社 取締役、監査役候補指名委員会組織規程」、11月11日に「上場・店頭登録会社 企業倫理作成準則」、11月24日に「○○株式会社 合併買収情報開示自律規範」の3つの参考例を公表しました。
4.  会社法で株主の通信による投票制度が導入されたのにあわせて、2005年10月19日付で上記の実務規則、「○○株式会社 株主総会議事規則」と「○○株式会社 取締役及び監査役選任手続」の2つの参考例を修正して公表しました。
5.  2006年1月11日の証取法改正と2006年3月28日付「公開発行会社の社外取締役設置義務適用範囲」の公告にあわせて、2006年9月27日には台湾証券取引所「有価証券上場審査準則」等の関連規則と「上場会社社外取締役設置の手続要点」、上記の実務規則、「上場・店頭登録会社取締役・監査役研修推進要綱」と「○○株式会社 取締役及び監査役選任手続」、「○○株式会社 社外取締役の職責範囲規則」、「○○株式会社会 計監査委員会組織規程」、「○○株式会社 取締役会議事規則」と「○○株式会社会 取締役、監査役候補指名委員会組織規程」の5つの参考例を修正して公表しました。

五、上場・店頭登録会社のコーポレートガバナンス制度実施の主な方針

(一) 取締役会の機能強化:
取締役会の構成員は忠誠、慎重、注意深い態度をもって、会社の利益を前提とし、会社の経営戦略、リスク管理、年度予算、業績の評価および資本支出の監督、合併買収や投資処分等の重要事項に関し、最善を尽くして職務に当たらなければなりません。同時に、会社の会計システムと財務報告の適正性を保証しなければならず、取締役会の構成員による会社を損なう行為や株主との間の利害衝突を避けなければなりません。取締役会はこのほかに、経営陣を慎重に選任して監督し、会社の事務について客観的に判断し、適任な内部監査責任者を選任して内部管理の有効性を保証し、弊害を防がなければなりません。公開発行会社は、定款の規定または管轄機関の要求に従い社外取締役を置くことができ、社外取締役が取締役会の決議事項について反対意見や意見の保留があるときは、取締役会はこれを議事録に記載しなければなりません。
(二) 監査役(会計監査委員会)の機能の発揮:
公開発行会社は、会計監査委員会または監査役を置かなければなりませんが、管轄機関は状況に応じて、監査役に代えて会計監査委員会を設置するよう会社に命令することができます。監査役(会計監査委員会)は監督権を随時行使して、公平・透明・権利と責任の明確化という理念に則り、監査役(会計監査委員会)制度の円滑な運用を図らなければなりません。監査役(会計監査委員会)は、会社の財務業務事項を確実に監督するほか、必要があれば専門家である会計士や弁護士に監査事務を依頼したり、会社の上場・店頭登録申請時に証券取引所または店頭売買センターに対して関連事項を確認したり、また監査役(会計監査委員会)が補正・改善するよう会社に督促することで、後日株主の権利が損なわれることのないようにします。さらに監査役(会計監査委員会)は内部監査報告書を閲覧して、社内管理と内部監査の状況を捕捉することとし、公開発行会社が社外取締役を置く場合には、内部監査報告書を社外取締役にもあわせて提出します。会社を脅かす状況が起きても、監査役(会計監査委員会)が自主的に管轄機関と証券取引所または上場売買センターに遅滞なく通知すれば、弊害を未然に防ぐことができます。
(三) 株主及びステークホルダー(利害関係者)の権利の重視:
会社は大株主も少数株主も公平に扱い、株主が進んで株主総会に参加し、取締役の選出や会社定款の変更等に積極的に参加することを奨励しなければなりません。また会社は、株主に適切で充分な質問と提案の機会を与え、抑制効果が発揮されるようにし、同時に株主にはいつでも、すぐに会社の情報を得られる権利と利益を享受する権利を与えなければなりません。さらにコーポレートガバナンスでは、ステークホルダーの利益を重視し、富と雇用の創造、財務の健全性の維持においてステークホルダーと積極的に協力しなければなりません。ステークホルダーが会社に資金を注入するような場合、会社は法により債務者としての責任を履行し、会社に財務的危機が生じないようにしなければなりません。
(四) 情報開示の透明化:
「上場・店頭登録コーポレートガバナンス実務規則」第2条では、情報開示の透明性の向上がコーポレートガバナンスの原則のひとつに明記されており、会社はスポークスマン制度を確立するとともに情報公開システムを適切に利用して、株主とステークホルダー(利害関係者)に会社の財務状況とコーポレートガバナンスの実施状況を充分に知らせなければなりません。また、証取法第36条及び同実施細則第7条では、財務情報の開示と株主の権利への影響を強調しています。それは、財務情報の伝達には往々にしてコーポレートガバナンスの成果と効果が現れるものだからです。
(五) 内部管理及び内部監査制度の確立と実行:
会社経営を健全化し、取締役会と管理陣が確実に責任を履行できるよう、会社は内部管理制度を確立、整備し、有効に実行しなければなりません。
監査役(会計監査委員会)は、関係規定に従い内部管理と内部監査を検査して実行状況を把握するほか、上場・店頭登録会社は自己評価作業を確実に行い、取締役会と管理陣も毎年、各部門の自己検査結果と監査部門の監査報告を検討して、社内監査報告書を作成して毎期ごとに主管機関に報告しなければなりません。
(六) 優れた会計士と弁護士の選出:
専門家であり責任を負う会計士は、会社の財務状況の内部管理について定期的に検査する中で、異常や遺漏事項を発見したり具体的改善案や予防策を示すことで、コーポレートガバナンスの盲点を塞ぐことができるため、弊害防止というコーポレートガバナンスの役割を増進することができます。優れた弁護士は、適切な法律アドバイスを提供し、その協力によって取締役会と管理陣が基本的な法律の素養を高め、会社または関係者が法令に抵触しないようにする効果が期待できます。これにより、コーポレートガバナンスが法律の枠組みと法で定められた手続のもとで粛々と行われるようになります。また取締役会、監査役と株主との間に違法な衝突が生じたときは、適切な法的措置によりコーポレートガバナンスがその効果を発揮できるようになります。